空き家を売るときに最初に迷うのが、「先に解体して土地として売るか」「建物付きのまま売るか」です。 解体すれば土地の状態が伝わりやすくなる一方、費用が先にかかり、建物を元に戻すことはできません。 そのため、原則は解体前に2通りの手取り額を比較することが大切です。
QUICK ANSWER
先に結論:解体は「売り方と手取り額」を比べてから
老朽化が著しく、建物を残すことで売却の妨げになる場合は解体が有力です。一方、建物に利用価値がある、再建築できるか不明、解体費を先に負担したくない場合は、建物付き売却を先に検討する余地があります。
空き家を解体する4つのメリット
1. 倒壊や飛散などの管理リスクを減らせる
老朽化した建物は、強風や地震で屋根材・外壁が落下したり、庭木や害虫を含む管理負担が増えたりします。解体により建物由来の危険を取り除けることは、所有者だけでなく近隣にとっても大きな利点です。
2. 土地の広さや形状を買主が確認しやすくなる
更地になると、接道状況、敷地形状、高低差などを現地で確認しやすくなります。新築用地を探している買主にとって検討しやすくなり、土地としての訴求が明確になります。ただし、解体すれば必ず早く・高く売れるわけではありません。
3. 自治体の解体・除却補助金を使える場合がある
老朽危険家屋や空き家の除却に対し、自治体が補助制度を設けている場合があります。多くの制度は契約・着工前の申請を要するため、見積もりを取る段階で対象条件を確認してください。
地域別データ全国の解体補助金を調べる →
4. 建物の不具合を巡る調整を減らせる
古家付き売却では、残置物、雨漏り、設備の故障などの扱いを売買条件で調整する必要があります。土地として引き渡す前提なら建物に関する論点は減ります。ただし、地中埋設物や境界など、土地側の確認事項は残ります。
空き家を解体する5つのデメリット
1. 売れる前に解体費用を負担する
解体費だけでなく、家財の処分、アスベスト調査・除去、ブロック塀や庭木の撤去、地中埋設物への対応などで追加費用が発生することがあります。土地が売れるまで資金を回収できない点も見落とせません。
2. 住宅用地の税負担軽減が使えなくなる可能性がある
住宅の敷地には、固定資産税の課税標準を軽減する住宅用地の特例があります。建物を解体すると、原則として翌年の課税でこの特例が使えなくなる可能性があります。一方、管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けた土地も特例の対象外になり得るため、「残せば必ず税負担が軽い」とも限りません。
3. 建物の利用価値を失い、元に戻せない
リフォームして住みたい買主、事業用・賃貸用に活用したい買主にとっては、古くても建物が選択肢になります。解体後に「建物付きなら買いたかった」という需要が見つかっても元には戻せません。
4. 再建築できない土地では価値を下げるおそれがある
接道条件などを満たさず、現在の建物を壊すと新しい建物を建てられない土地があります。こうした土地で先に解体すると利用方法が大きく狭まる可能性があります。建築士、宅地建物取引業者、自治体の建築指導窓口などに確認してから判断してください。
5. 解体後の登記など手続きが必要になる
建物を取り壊した後は、建物滅失登記が必要です。売却の予定がある場合は、境界確認や測量の要否も早めに整理しておくと、引き渡し前の遅れを防ぎやすくなります。
参考:法務局「建物滅失の登記」
建物付き売却の方がよい5つのケース
建物にまだ利用価値がある構造の状態が比較的よく、改修して住む・貸す需要が見込める。
再建築の可否が確認できていない接道、セットバック、市街化調整区域などの条件を調査中。
解体費用を先に用意しにくい売却代金が入る前の持ち出しを避けたい。
リフォームや内装に投資している売主が残したい価値を買主に評価してもらえる可能性がある。
古家付きと更地の査定差が小さい解体費を差し引くと、建物付きの方が手取り額が多い。
国土交通省も、空き家を「しまう」方法として除却後の土地売却を挙げる一方、「活かす」方法として住宅のままの売却や用途転換を示しています。建物の状態と地域需要に応じ、両方を比較する考え方が現実的です。
ORIGINAL RESEARCH
アンケートで見る、空き家所有者の売却判断
みんなの解体サーチ編集部調査30歳以上の111人を対象に、本人・家族等の空き家所有状況を調査しました。所有に関係する回答者のうち、追加質問に回答した47人には空き家期間と売却方法の考え方を聞いています。
※「本人所有」と「家族・親族所有」は別設問のため、単純に合算できません。
現在の空き家期間
n=476か月未満8.5%
6か月〜1年未満17.0%
1年〜3年未満27.7%
3年〜5年未満14.9%
5年〜10年未満12.8%
10年以上17.0%
わからない2.1%
売却方法の考え方
n=47建物付き売却を優先25.5%
建物付き・解体後を比較12.8%
解体後の土地売却を優先6.4%
売却予定だが方法は未定12.8%
未検討・売却意向なし21.3%
判断できない・不明21.3%
VOICE
自由回答に多かったのは「比較して決めたい」という声
建物付きの売却価格と解体費を含め、どちらが得か比較したい。
築年数が古くても、建物付きのまま売れるのか知りたい。
再建築が難しい場所なので、建物を残した方がよいのか悩んでいる。
※回答の趣旨を変えない範囲で、読みやすく編集しています。
- 調査対象
- 30歳以上の男女
- 回答数
- 111人(追加設問は47人)
- 調査方法
- インターネット調査
- 調査主体
- みんなの解体サーチ編集部
建物付きと解体後、2通りの「手取り額」を比べる
比較するときは売却価格だけでなく、売るまでに必要な費用を差し引きます。古家付き査定と更地想定査定を同じ不動産会社に依頼するだけでなく、地域によっては複数社の見方を聞くと判断しやすくなります。
RECOMMENDED ORDER
解体を決める前に行う4ステップ
- 01建物・土地の条件を確認
接道、境界、再建築の可否、建物状態を確認する。
- 022通りの売却査定を取る
古家付きと更地想定の価格・売却期間を聞く。
- 03解体見積もりと補助金を確認
付帯工事を含む見積もりを比較し、着工前に補助要件を調べる。
- 04税・諸費用込みの手取りで決める
税理士や専門家にも確認し、最終的な手取り額を比べる。
売却前に確認したい税制上の特例
相続した一定の空き家を売却した場合、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。適用期限、建築時期、耐震性、売却額、相続人数など条件があるため、解体や売買契約の順序を決める前に最新要件を確認してください。
参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
SUMMARY
まとめ:解体前の比較が、後悔を減らす
空き家の解体には、安全性の向上や土地として売りやすくなる可能性があります。一方、先行費用、税負担、再建築性、建物の利用価値を失うリスクがあります。編集部の独自調査でも、解体後の土地売却を優先する人だけでなく、建物付き売却や両方の比較を考える人が見られました。
- 解体前に、古家付き査定と更地想定査定を取る
- 解体費用は付帯工事まで含めて比較する
- 再建築性・補助金・税制は契約前に確認する
「先に壊す」ではなく、売り方・費用・制度を並べたうえで判断しましょう。
本記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の税務・法務・不動産価値を保証するものではありません。実際の判断は、自治体、不動産会社、税理士、建築士、土地家屋調査士などの専門家へご相談ください。制度・法令は変更される場合があります。
